髙瀬 伸 代表取締役（髙瀬クリーニング 武蔵中原店（コインランドリーANYWASH併設）)のインタビュー

「ありがとう」と言ってもらえる喜び。クリーニング屋は天職

髙瀬クリーニングは、もともと祖父が1940年に創業したお店です。僕の父は継がずに新しく他にクリーニング屋を創業して、ここは叔父が継ぎました。叔父からそろそろ引退したいという相談を受けて、祖父が創業したこのクリーニング屋と父が創業したクリーニング屋を合併して、僕が3代目として引き継いだんです。

実は子どもの頃は、クリーニング屋であることが嫌だったんですよ。他の会社員の家庭と違って休日に家族で遊びに行くこともできないですし、商売なんて絶対にやりたくないって思っていました。ですが、18歳くらいになると意識が変わりましたね。両親が接客している姿を見ていると、お金を払っているはずのお客様が「ありがとう」と声をかけてくださるんです。「いつも綺麗にしてくれてありがとう」って。それで、「クリーニング屋さんってお金をいただきながら、ありがとうって言われる仕事なんだ」って気付いたんです。こんなに喜んでもらえる仕事ならやりがいがあるなって思うようになって、この世界に入ることに決めました。

それからは、景気が悪い時期もありましたけど、辞めようと思ったことは一度もありません。僕にとって天職なんだと思います。クリーニング屋って、お店作り、接客、販売促進、技術、これら全てが揃っていないとうまくいかないんです。どれかひとつ欠けてもダメですね。なので、やることはとても多いですが、それがやりがいにつながっていると思います。

女性や高齢者が安心して利用できるコインランドリーを作りたくて

当店は、常にお客様のことを考えて改革を進めてきました。そのひとつが、ここ武蔵中原店です。武蔵中原店では、クリーニングとコインランドリーを融合させました。きっかけは新型コロナの流行です。テレワークが進んで、ワイシャツやスーツなどビジネスシーンで使用する衣服のご依頼が激減しました。反対にご自宅で過ごす時間が長くなったことで、家庭生活品のご依頼が増えたんです。そこで、お客様の家庭洗濯を何とかしたいという思いで、コインランドリーを併設することを決めました。

それもおしゃれで、使いやすくて安全なコインランドリーを。女性が1人でも安心して使えるお店がコンセプトです。また、この地域には高齢の方も少なくありません。若い方だけでなく、高齢の方にとっても使いやすいお店にしたいと考えました。そこで昼間はスタッフが常駐していて、使い方が分からないお客様に教えられる体制を作りました。コインランドリー初心者でも、安心して使えるお店になっていると思います。

夜も女性1人でも安心して使っていただけます。基本的に大通りに面しているので人目はありますが、防犯カメラも4台程設置していてセコムとも提携しています。何かあれば出動してもらえる体制を築いています。フリーwifiが入っているので、洗濯が終わるまでカフェスペースでパソコン作業をしている方もいらっしゃいますね。

お布団の丸洗いサービス、洗濯代行。さまざまなサービスを展開

さまざまなサービスを展開していますが、その中から現在のおすすめをいくつかご紹介します。まずは、お布団の丸洗いサービスです。ネットかお電話でご予約いただいたらご自宅まで取りに伺って、その日のうちにお届けまします。地域は限られてしまいますが、利用しやすい価格と圧倒的な納期が特長です。

つい最近も、お子さんがおねしょしてしまったとおっしゃるお母さんから依頼がありました。ちょうど下の子が生まれたばかりで困っていたそうです。ご連絡をいただいた日にお布団を取りに伺って、その日のうちにお返ししたら、すごく喜んでいただけましたね。同じように、困っているお客様にご利用いただけるよう、訪問できる地域については今後もう少し広げていきたいと思っています。

また、洗濯代行というサービスも行っています。専用のバッグに家庭生活品を詰めてもらって、お渡しいただきます。当店は、それを洗って、たたんでお返しします。基本的に水洗いできるものならなんでも対応可能です。「プロがたたむのでピシッとして気持ちがいいね」って言っていただけることが多いですね。でもお客様の中には、下着を入れることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんよね。それで、当店にある24時間無人ロッカーを利用して、非対面で受付とお受け取りができるようにしています。プライバシーを守りながら安全にやりとりできる体制を作っているので、不安を感じることなくご使用いただきたいと思います。

しっかりとした技術と知識で、約束を守る

祖父や父の代から仕上がりにはとにかくこだわってきました。僕は、クリーニングというのは約束を守る商売だと思っています。約束を守るということは、言い換えれば嘘をつかないこと。できることとできないことを、きちんとお客様に伝えなければなりません。そのためには、技術と知識が必要です。

僕自身、京都にしみ抜きの師匠がいて、しみ抜きの技術を習いました。社団法人京技術修染会の修復師という認定資格も取得しています。だからしみ抜きにはかなり自信がありますね。武蔵中原店には、ガラス張りのしみ抜きのコーナーがあるので、そこで実演することもあります。ちょっとしたものであれば、お客様の目の前でしみを落としてしまうこともありますよ。しみ抜きができるかできないかは、その場で判断することが可能なので、もし、しみ抜きでお悩みの方がいたらご相談いただきたいです。

家庭から洗濯機をなくすために「クリーニングコンビニ」を作りたい

「家庭から洗濯機をなくしたい」というのが、僕たちのコアコンセプトなんです。それは、洗濯が多くの方にとってストレスになると思っているからです。洗って干して、たたんでっていう一連の作業があるので、時間も手間もかかりますよね。その時間にお出かけできたのにとか、家族の思い出を作れたのにっていう場合もあると思うんです。

そのために「クリーニングコンビニ」を作りたいと思ってやってきました。しみ抜きもお布団の丸洗いも洗濯代行も、すべてそのひとつなんです。それこそお客様にとって、靴から帽子まで何でも洗えるし、相談できる場所にしていきたいですね。家庭から洗濯機をなくすために、クリーニングコンビニを広げていくことが今の目標ですね。

祖父の代から数えると、この地域で80年クリーニング店を続けてきました。地域の皆様には感謝しかありません。僕が今新しいことにチャレンジできるのも、お客様のおかげです。だからこそ、他の地域の方たちに「髙瀬クリーニングが近くにあるなんていいな」って羨ましがられるようなお店を作っていきたいですね。お洗濯について困っていることがあれば相談してほしいし、休んだり世間話をしたりする場所にしてほしいと思っています。感謝の気持ちを、お客様の「ありがとう」に変えていきたいので、これからも、地域の皆様にはご愛顧いただけたら嬉しいです。

※上記記事は2021年12月に取材したものです。

時間の経過による情報の変化などがございます事をご了承ください。