講師 髙橋 宗芳(日本弦楽指導 元住吉)のインタビュー

日本弦楽指導 元住吉 講師 髙橋 宗芳

日本弦楽指導 元住吉 講師 髙橋 宗芳 MUNEYOSHI TAKAHASHI

神奈川県藤沢市出身。桐朋学園大学にて原田幸一郎師に師事。同大学を首席で卒業後、一年間日本で演奏家として活動するも、ニューヨークへ渡米。ニューヨークにて演奏家、指揮者、指導者として12年間活動したあと、帰国。2019年からは地元神奈川で「元住吉のヴァイオリン教室」を主宰している。被災地支援として岩手県でも指導を行う。

中学生でヴァイオリンの面白さに目覚める

3歳からヴァイオリンを習っていました。親も熱心に練習させてくれたので、子どもの頃はそれなりに上手だったと思います。ただ、音大へ行こうとか演奏家になろうとは考えなかったですね。その頃はあくまでもヴァイオリンは習い事でした。それから中学生になると、野球部に所属したこともあり、学校生活が忙しくなってしまいました。ですので、いったんヴァイオリンを習うことをやめたんです。それからヴァイオリンのことは考えずに、毎日を楽しく過ごし、特に部活にのめりこんでいきました。そして中学3年生になりました。3年生では夏の大会が終わると普通はそこで高校受験のためにいったん野球はお休みになります。しかし私の学校は中高一貫でしたので、大会で負けた翌日から高校の野球部に配属になりました。そして下級生ということでボール拾いから始まったんです。大会の次の日に。当時はそのギャップに興ざめしてしまいましたね(笑)。と同時に帯状疱疹にもかかり、医師から部活を一時休むよう勧められました。すると、急に何もすることがなくなってしまった。その時に、ふと昔習っていたヴァイオリンを思い出しました。久しぶりに弾いてみると、とても楽しくて、それから自分1人で練習するようになりました。毎日弾いていると、「そもそもヴァイオリニストってどんな人がいるんだろう?」と考えるようになります。そこで、ヴァイオリニストについての本を読んでみました。また、「ヴァイオリンの曲って、どんなものがあるのだろう」と思って、曲を調べ弾いてみました。そのようにして知識を積み重ねていくと、さらにヴァイオリンを弾くのが楽しくなっていきます。子どもの頃は、先生に言われるがまま練習するだけで、関心もあまり持たなかったですが、成長すると自分1人でも興味関心を広げられました。時間もあり、1人で好きなように動いていたのがよかったのでしょうね。どんどんヴァイオリンの魅力にのめり込んでいきました。そして一年後、音大へ行くことに決め、部活を辞めました。あの部活を休んでいた時期は、私の大きな転機でしたね。

ニューヨークへ。さまざまな異文化を持つ音楽家たちと出会う

大学を卒業してからは、さまざまな所からお声がけいただいたので、一年間は演奏家として、指導者として充実した毎日を日本で送らせていただきました。ただ、外の世界も見たい気持ちが強くなり、ニューヨークへ行くことにしたんです。日本でも素晴らしい演奏家の方はたくさんいらっしゃいますが、外国に行くと、日本で出会う方々よりもうワンランク上の演奏家の方々と出会えます。演奏家として技術や表現が高いということもありますが、ニューヨークの魅力はそれだけではありません。そこで出会う人々の中には、彼らが持っているバックボーンといいますか、国や環境、考え方や価値観、宗教といったその人固有を形成する支柱が我々日本人とは全然違う人がたくさんいます。そういった内面や背景も演奏に現れ、日本では聞くことがなかった演奏を直接聞くこともできました。人種のるつぼと言われるニューヨークなので、芸術家だけでなくさまざまな人が集まります。演奏家だけでなく、芸術家やビジネスを持った人々が集まり、母国の厳しい歴史を背負った人もいました。彼らからは、私自身演奏家としても1人の人間としても大きな刺激を受けましたね。日本にいては経験できなかったことの一つは、敬愛するオーストリアの音楽家フリッツ・クライスラーの演奏を直接聴いた御老人たちと出会えたことです。クライスラーは、日本で演奏したこともありましたが、それは1920年代のことでした。なので、さすがに日本でクライスラーの生演奏を聴いた人に会ったことはありません。しかし1940年代以降、アメリカに移住したので、ニューヨークではクライスラーを知っている人に何人か出会えたんです。とても嬉しかったですね。彼を身近に感じることができました。ニューヨークで12年間活動したあと、私自身次の段階に入る時期だなと思い、日本へ帰国しました。そして故郷の藤沢に近い、元住吉で「元住吉のヴァイオリン教室」を始めました。

指導で心がけていることは、体系的に教えること。そして諦めない

当教室では、初級者から上級者まで、3歳から大人の方までヴァイオリンを教えています。指導で心がけていることは、ヴァイオリン演奏に必要な動作を分類して、それを教える順番を自分のなかで整理してから、指導することです。初級者の方には、最初は楽器と弓を正しく持つ、音なしで弓を動かす練習をする、弓を弾く範囲を限定して練習する、などステップを小さく分解して分かりやすくして、一つずつ組み上げて教えていきます。また、お家での練習に役立てるよう初級者向けの動画も渡しています。YouTubeにも弾き方の動画はたくさんあるのですが、内容が怪しいものが多いので生徒さんが間違った方向へ行かないよう、動画は自分で作りました。入会されて1ヶ月も経つと、最初はヴァイオリンを初めて触ったという方でもシンプルな曲を弾けるようになります。あとは、指導で心がけていることとしては、講師が諦めてはいけない、ということです。「これ以上うまくならないんじゃないか」と思い、こちらが諦めてしまうと生徒さんはいわゆる「お客さん」になってしまいます。そういう状態にはしないことです。どんな方も続けていけば壁に当たることもありますし、上達に時間がかかってしまう時期もあります。ですので、生徒さんに寄り添いながら、指導したいと常に心がけています。

驚くほど上達した生徒さんたち

教室で教えている生徒さんのなかには、驚くほど上達した方が何名もいらっしゃいます。ある40代の女性は高校生までヴァイオリンを習っていたのですが、途中でやめてしまって、ここ数年でもう一度始められた方です。かなりハマって練習をしていて、今では音大に入れるんじゃないかと思うほど上達しました。他にも、被災地支援で月に一度岩手県へ指導に行っているのですが、岩手の生徒さんたちが驚くほど上達しているので、びっくりしています。20名ほどいらっしゃるのですが、最初は全員初心者だった方達が、どの方もとても上手くなっています。「月に一度のレッスンしかないのに、どうやってそこまで上達したの?」とこちらが聞きたいくらいです(笑)どうやら、ご友人同士で音楽会を開催したり、練習を一緒にしているようなので、元住吉でも同じような機会を生徒さんに提供できたらいいなと考えています。

まずは体験から。ヴァイオリンは意外と始めやすい楽器

ヴァイオリンは敷居が高いと思われがちですが、正しい段階を踏めばどんな方でも、年齢を問わず演奏を楽しめる楽器です。ヴァイオリンの魅力は、自分の体と一体になれるような、繋がっている感覚を持てることです。まるで自分の体の一部となるような楽しい感覚を、みなさんにも味わっていただけたらと思います。高価な楽器と思われがちですが、最近は中古のヴァイオリンがメルカリなどで安価で手に入る時代です。私が見ても学習用として全く問題ないものが2万円から売られています。中古をご購入することもおすすめですよ。また、ヴァイオリンの音もみなさんが心配されるほど大きくはありません。心配な場合は弱音器やサイレントバイオリンというグッズがありますので、それを使えば自宅での練習も問題ないかと思います。ご興味のある方は体験からいらしていただけたら嬉しいです。当教室は、生徒さんも増えてきましたので、ヴァイオリン講師と他の楽器の指導者も増やし、少し大きな教室に変えていく予定です。たくさんの生徒さんと出会えることを、今から楽しみにしています。

 

※上記記事は2022年11月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

日本弦楽指導 元住吉 講師 髙橋 宗芳

日本弦楽指導 元住吉講師 髙橋 宗芳 MUNEYOSHI TAKAHASHI

日本弦楽指導 元住吉 講師 髙橋 宗芳 MUNEYOSHI TAKAHASHI

  • 出身地: 藤沢市
  • 好きな本: 最近は経済学の本を熱心に読んでいます。
  • 好きな音楽: ヴァイオリンなら、クライスラー。アンサンブルならモーツァルトなどの古典的な曲
  • 好きな映画 : 『アラビアのロレンス』
  • 好きな場所: 海。特に湘南の海が好きです。

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