渡辺 英一郎 院長(夕やけの丘動物病院)のインタビュー

夕やけの丘動物病院 渡辺 英一郎 院長

夕やけの丘動物病院 渡辺 英一郎 院長 EIICHIROU WATANABE

大学卒業後は、東京、山梨、仙台などにある動物病院で10年ほど修行を積み、さまざまな症例を担当させていただいた後、2001年6月に開業しました。

獣医師を志されたきっかけと開業された経緯について教えてください。

小学生の頃飼育委員をしておりまして、家でも動物を飼うほど動物が大好きで、彼らと関わる仕事に就きたいと考えていました。年齢を重ねるにつれて海外のドキュメンタリーなどを観るようになり、野生動物を保護する仕事ができたら素晴らしいと思うようになりました。しかしこの仕事で生計を立てるのが難しいことも徐々にわかってきて、人ともに暮らす動物の健康管理をし、病気の治療をする獣医師であれば一生続けていけると考えました。野生動物保護活動の夢は、遠い将来に実現できたらうれしいですね。
大学卒業後は、東京、山梨、仙台などにある動物病院で10年ほど修行を積み、さまざまな症例を担当させていただいた後、2001年6月に開業しました。都筑区を開業地に選んだ理由は、街が新しくこれから育っていく街であること、そしてペットを大切に飼っている方が多くお住まいであることです。食事、散歩、排せつを含む生活習慣全般でアドバイスができる地域密着型の獣医師を目指して開業しました。動物を飼った経験のない方や、これから動物を飼おうとされている方のご相談に乗ることもあります。

診療方針について教えてください。手術や検査までこちらでやっていらっしゃるそうですね。

ホームドクターが行う治療を1次診療、専門性が高く難しい専門医療を2次診療と呼びますが、当院の守備範囲はあくまで1次診療です。わたしが大学におりました頃は、まだ専門分野に細分化して勉強する体制になっていませんでしたから、獣医師はあらゆる動物の身体を包括的に診なければなりませんでした。しかしそうすることで、身体の部位同士の連携もわかりますし、末端の症状からさまざまな病気を想定することもできます。できる限りの診療は当院でやらせていただきますが、これを超える領域につきましてはやはり専門の医療機関をご紹介させていただいています。都筑区・青葉区は1次診療機関と2次診療機関の役割分担が整備されていると同時に、双方の情報連携が進んでいます。これによって多くの動物の命を救うことができ、結果的にペットの「健康寿命」が延びているのです。
当院では7名の獣医師が交代で勤務しており、他院に比べてスタッフ数が多いことが特長ですが、これはさまざまな得意分野を持つ獣医師が1次診療の段階で取りこぼしがないようにするためです。ここで包括的に診療することで、飼い主様が安心してわたしたちにペットをお預けいただけるようにしています。

動物は自覚症状を訴えませんが、動物を診るときどのようなコミュニケーションをとりますか?

日頃からキーとなるチェックポイントを頻繁に診られるように、健診以外にも動物を連れてきていただくようにしています。「やせてきたか」「触ると痛がるところがあるか」「目ヤニはでていないか」…..などその動物を診る機会が増えるほど、小さな異変にも気づきやすくなります。
全体の数から見たらそんなに多くはありませんが、月一度以上の頻度で連れて見える飼い主様がいらっしゃいます。この場合、重篤化して痛い治療をすることが少ないので、動物もふだんの散歩の延長で安心して来院します。ところがいったん病気が深刻になってからですと、診察台に乗せて検査したり注射をすることもありますので、病院に対して恐怖感を抱き嫌になってしまいます。

わんちゃんや長毛種のねこちゃんの場合、トリミングで連れて見える飼い主様がいらっしゃいますので、その際に簡単な健康診断もさせていただいています。トリミングも診断の大切な機会で、ここで皮膚病や、心臓音の異変がわかることもあります。

飼い主様がご自身でペットの健康をチェックするポイントについて教えてください。

わたしたち獣医師だけでなく、飼い主様も触ったり声掛けをして日常的に異変がないかチェックしていただきたいと思います。(1)食欲はあるか、(2)食べているのに痩せてきていないか、(3)散歩を嫌がらないか、(4)おしっこの頻度が増えていないか、(5)触って痛がるところはないか.....といった具合に、日常と異なる点、気になる点を常に気づけるようにしてください。そしてそのような変化に気づいたとき、すぐに連れてきていただければ、重篤化することもありません。やはり気の毒なのは、症状が深刻になってから連れてこられる動物です。痛みに耐える時間が長く、金銭的な負担も大きくなります。

診察で心がけていること、そして地域のみなさまへのメッセージをお願いします。

やはり飼い主様と頻繁にコミュニケーションを取り、異変に気づきやすい環境を作ることです。また飼い主様ご自身が口下手なこともありますから、お話をお聞きするきっかけをたくさん作ります。共に暮らす動物ですから、日常的に楽しいエピソードもたくさんあるはずです。そのようなお話を突破口として徐々に緊張を解き、大切な情報もお聞きできるようにします。飼い主様からの情報が多いほど正しい診断に結び付きますし、無駄な検査をする必要もなくなります。この地域にお住まいの方にお伝えしたいことは、都筑・青葉地域がペットを飼う環境が整っており、健康寿命の長い動物が多いことです。1次診療・2次診療の役割分担でより専門的な診療が受けられますし、双方の連携がスムースで情報共有も進んでいます。例えば当院で精密検査を他院に依頼した場合、その検査データが即日届くこともあります。一刻を争う治療が肝要なケースもありますので、このような体制が整うことで数多くの動物の命を救うことができます。

動物の健康寿命が延びる一方で、「高齢化」の問題も避けられなくなってきます。都築・青葉地区では、高齢動物のためのサポートが進みつつあります。
またご高齢の方がペットを飼うケースも増えており、飼い主様が散歩に連れていけない、動物病院に連れてこられないといった問題もありますが、これについてもサポート体制ができつつあります。ペットシッターや動物病院への送迎、問診といったサービスについて、地域全体で考えていこうという動きがあります。
高齢者がペットを飼うことについては賛否両論がありますが、わたしは是非高齢者こそ飼っていただきたいと考えています。と申しますのは、動物とのコミュニケーションが増えると認知症になりにくくなるといった報告があるからです。また日常的に散歩をすることで、飼い主様ご自身の健康にもよい影響があります。

きちんと愛情を持って飼ってくださる方は動物を幸せにします。1年に殺処分される動物の数は依然として多いため、本当に愛情を持って面倒を見る方の存在は貴重です。わたしはできるだけ、「飼いたい」というご意志に添えるようにし、その後の「ペットロス」のサポートもきちんと進めていきたいと考えています

※上記記事は2016年1月に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

夕やけの丘動物病院 渡辺 英一郎 院長

夕やけの丘動物病院渡辺 英一郎 院長 EIICHIROU WATANABE

夕やけの丘動物病院 渡辺 英一郎 院長 EIICHIROU WATANABE

  • 好きな言葉・座右の銘: No Second Life(人生は一度きり)
  • 好きな音楽・アーティスト: 洋楽(スティングなど)
  • 好きな場所・観光地: 宮古島(ロットワイラー・故ユリアとの思い出の場所 )
  • 出身地: 東京都
  • 趣味・特技: マリンスポーツ
  • 好きな本: ビジネス書
  • 好きな映画: 洋画(『ライフ・オブ・パイ』など)

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