鈴木 毅 院長（とまり木ウィメンズクリニック武蔵小杉)のインタビュー

銀行員から産婦人科医の道へ

大学を卒業後、いったんは銀行に就職したのですが、27歳のときに一念発起。医師を志しました。銀行員時代も中小企業支援など「何か困った人のために」という思いを持っていましたが、もっと直接的に人助けがしたいなと思ったことが、きっかけのひとつだったかもしれません。医学部を卒業したあとは、川崎市立川崎病院で臨床経験を積み、2021年8月に「とまり木ウィメンズクリニック」を開院しました。

川崎市内でも少ない女性医学の専門医

当院の特徴は、私自身が川崎市内でも数人しかいない女性医学の専門医だということ。生理不順や更年期の症状といった産婦人科医の領域だけでなく、内科の病気やメンタル面などの女性の悩み全般に対応できるのが特徴です。例えば、コレステロール値が高いといった生活習慣病や糖尿病など内科的な疾患も女性ホルモンが影響していることがあります。更年期になると女性ホルモンが減ってくるので、高脂血症や高血圧になりやすくなるんですね。また、女性がかかりやすい膀胱炎も泌尿器科だと男性の患者さんがいて、行きづらい。そういった症状も、当院では幅広く対応が可能です。

婦人科領域以外の相談も気軽に来てほしい

産婦人科だと妊娠や出産に関わるものや婦人科領域の疾患でないとダメなのかなと思ってしまう方も少なくないですが、調子が悪いな、生理前だから頭痛がするのかなといった、ちょっとした違和感があるだけでも相談に来ていただけたらと思います。コロナ禍で精神的にイライラしたり、テレワーク中心で気持ちが落ち込んでしまったり。そういった症状で来院いただく患者さんもたくさんいらっしゃいます。そういったメンタルな部分にも寄り添っていきたいですし、「これは病院に行っていいのかな」というようなときにも気軽に来ていただけたら嬉しいです。

患者さんの話をしっかりと聞き出すこと

診察する際に心がけているのは、カルテではなく目の前にいる患者さんに向き合って、しっかりと話を聞くこと。問診の最後には必ず「ほかに質問はありませんか」と聞くようにしています。緊張してしまって、その場ではなかなか言い出せないこともあると思いますので、必ず最後にお声がけするようにしていますし、無言の時間も大切にしています。質問を畳みかけずに、少しゆったりと待つこともありますね。聞く角度や側面を変えての質問で答えてくれる方もいらっしゃいますし、10～20代の若い方は特に恥ずかしさが先に立ってしまう方も少なくありません。なるべく言い出しやすい雰囲気づくりを意識しています。

また、問診票も多めに書いて頂いています。口に出しにくいことも書くことで表に出してもらえたらいいなという思いで、フリースペースも大きく設けています。書くことで悩みがより具体的になることもありますし、逆に漠然としたことでもいいので、とにかく気になることは全部教えていただきたいという気持ちです。Web上の予約システムにも、フリーコメントの部分がありますので、事前に伝えていただくことも可能です。

女性の一生に寄り添うクリニックに

大きな病院も必要なものですが、もっと身近な存在として困った人に寄り添った医療がしたいという思いで、開院を決めました。当院は、駅から近いところも特徴のひとつです。複合モールだと、皮膚科や内科など、他のクリニックの患者さんの目が気になるという方もいらっしゃるかと思いますが、ここは産婦人科のみですし、非常に通いやすいのかなと思っています。

思春期から更年期、女性の悩みは一生尽きないものです。生理痛で悩んでいる10代の学生さんがお母さんと一緒に来てくださることもありますし、頭痛やめまいなど婦人科に関係ない症状が実はPMSだったということもあります。産婦人科だからとハードルを高く思わずに、いつもとちょっと違うな、大丈夫かなと思うことがあれば、気軽に来ていただけたら。何かあったときに相談できる地域のかかりつけ医で在りたいと思っています。

※上記記事は2021年10月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。